PLANNING TIPS 企画作りのヒント TCP2019受賞者体験談

TCPは例年、1次審査、2次審査、最終審査と、
複数回の審査を経て受賞作品が決定します。

このページでは応募から受賞が決まるまで、
それぞれの部門で応募者がどのような準備・対策を
してきたかをTCP2019受賞者の
インタビューを通してご紹介。

各部門受賞者のTCP体験談を参考に、
TCP審査の全体像を掴んでくださいね!

TCP2019 企画部門 審査員特別賞
野村 東可さん

プロフィール
名前  :野村 東可
受賞企画:『▽サンカク ―女は、愛を、くっつけた―(仮)』

あらすじ
愛する男の最期のとき、女はその愛おしい彼のイチモツを切り取った。そして、自分の下着に隠して逃げるが、その後イチモツが自身にくっついてしまう。女はイチモツと共に男として生きていくことを決める。 女性から男性に変わった主人公の葛藤と悦びとは。

TCP2019企画部門スケジュール

企画部門1次審査

企画書

企画部門2次審査

映画プロデューサーによる面談
<7月中旬に1次審査通過連絡>
<8月中旬に2次審査面談を実施>

企画部門最終審査

審査員の前でプレゼンテーション
<8月下旬に2次審査通過連絡>
<10月下旬に合同オリエンテーション>
<12月に最終審査会を実施>

応募のきっかけ

2016年に応募したことがあったのですが、それ以降は応募していませんでした。 今回、募集部門は3つに分かれて、企画のみで勝負ができる企画部門ができたので再度、応募しました。

応募作品を思いついた経緯

着想のきっかけは女子会での会話からです。その場でどんどんアイデアの元になるものを思いつき、私が一人でしゃべっていて、それを周りのみんなが聞いているという状況でした。(笑)

『企画書はわかりやすく、コンパクトに』

普段、企画書を書くような仕事をしているわけではないのですが、企画書を書く上で、話の展開をわかりやすくすることと、書きたい要素をなるべくコンパクトにまとめることを心がけました。
話の構想自体は2年ほど前からできていたのですが、TCP事務局指定のフォーマットで書き出したのは締切り直前で、締切当日になんとか完成させました。

2次審査に向けて:対策はあらすじ強化と展開方法案

対策としては、作品の具体的な内容を詰めて、あらすじをもともとの2,000文字から4,000文字に伸ばすことなどをしました。
その他、宣伝や展開方法案などを想定質問として用意しましたが、実際の面談では応募作品自体の内容や企画性についての質問がほとんどでした。

『打ち合わせのような雰囲気』

2次面談は、企画開発の打ち合わせのような雰囲気があり、審査員の方に「ここはこういう風に変更したほうがいいのでは?」と意見をいただいた際に、別の審査員の方が「いやいや、それはこうじゃなくてああだよ」と、審査員同士で企画についてのディスカッションが生まれるシーンあり、一瞬私が傍観者のようになったことがありました(笑)

『最終審査当日は緊張感のある雰囲気』

ステージ上ではとても緊張感がありました。
時折笑いが起こるというよりは、(企画の映像化が決まる場なので)審査員も観客の方も真剣にプレゼンを観られていたと思います。

TCPを終えて

『企画部門は思いついたアイデアだけで勝負できる、他にないコンペだと思います。』

監督のような演出力や脚本家の筆力がなくても応募できるので、これから応募を考えている方は思いついたアイデアや物語を、気負わずにどんどん応募してほしいです。

受賞作『▽サンカク ―女は、愛を、くっつけた―(仮)』は自分事として感じてもらえる作品にしていきたいです!

TCP2019 脚本部門 審査員特別賞
室井 孝介さん

プロフィール
名前  : 室井 孝介
受賞企画:『658km 陽子の旅(仮)』

あらすじ
人生を諦め惰性で日々を過ごしていた草部陽子(46)は、長年疎遠になっていた父が事故に遭い重体であることを知る。 父に会いにいきたいが、東京から父が入院する青森まで移動するための所持金も頼れる友人知人もなく、ヒッチハイクで向かうことにする。その旅の過程で様々な人と触れ、閉ざしていた感情に小さな変化が生まれてくる。

TCP2019企画部門スケジュール

脚本部門1次審査

企画書 + 当該企画の脚本

脚本部門2次審査

映画プロデューサーによる面談
<9月中旬に1次審査通過連絡>
<10月中旬に2次審査面談を実施>

脚本部門最終審査

審査員の前でプレゼンテーション
<10月中旬に2次審査通過連絡>
<10月下旬に合同オリエンテーション>
<12月に最終審査会を実施>

応募のきっかけ

TCPにはこれまでに一度、応募したことがありましたが、1次審査を通過することができませんでした。もともと、企画書での表現を含め、プレゼンがあまり得意ではなかったので、今回から「企画書+脚本」審査が対象となる脚本部門が出来たことで、アプローチがしやすくなりました。また受賞までは届かなくても、1次審査さえ通過すれば映像化のチャンスがある「企画マーケット」が始まることが予告されていたこともとても魅力に感じ、応募しました。

応募作品を思いついた経緯

TV番組が着想のきっかけの一つです。
番組の中で、父親が亡くなって、会いに行きたいけど、交通機関が運休してしまい行けない。だけど一刻でも早く会いに行きたくて…という女性が居ました。
誰かのために感情をむき出しにしている姿がとても尊く、美しく感じて、作品にしようと思いました。

『テーマの普遍性をアピール』

指定フォーマットの企画書だったので、内容を短くまとめるのにすごく苦労しましたが、作品テーマの普遍性というか、「誰にでも起こりうること」をしっかりと伝えることを意識し、だいたい1か月くらいで完成させました。脚本は、もともと長編脚本をこれまでに3,4本書いていて、応募企画もTCP募集の前から書き始めており、締切に合わせブラッシュアップし、完成させました。

2次審査に向けて:自分の作品に対するレビューを想定して、対策

対策としては、応募作品が映画化されたとして、それを観た人から、例えば映画サイトなどでどのようなレビュー、コメントが来るのか?を考えて、それに対しての想定質問を組み立て、考えていきました。

内容について、審査員から厳しい意見もあるかなと思い準備したのですが、実際の面談では、想定以上に厳しいご意見をいただきました。(笑)

最終審査に向けて:事務局との事前打ち合わせでプレゼンの方向性が決定

プレゼンの切り口や構成の方向性については審査会前に、本番でどうアピールしていくかを事務局の方々と打ち合わせしました。(※ファイナリスト全員と実施)そこで、応募企画の客観的な意見が聞けて、プレゼンの方向性が定まりました。そこからプレゼンの準備をしていきました。

『プレゼンは作品に対する覚悟を伝える場』

応募作品に対して審査員の方々からご意見をいただきたいという思いが強く、プレゼンでは「こんなに素晴らしい作品ですよ!」ということよりも、「あえて叩かれるところを出していく」じゃないですが、応募作品のトーンや重さをしっかりと説明し、自分の覚悟を伝えることを心がけました。

TCPを終えて

「TCPはTSUTAYAのコンペだからエンタメ作品でないといけない」と、自分の中で変な思い込みがありましたが、実際はそうでなく、どんな作品でもフラットに評価してもらえる場所だと思います。

今回受賞した『658km 陽子の旅(仮)』は、観た人が他人や周りの人間に、今よりももう少しやさしい気持ちになってもらえるような作品にしていきたいです。

TCP2019 監督部門 審査員特別賞
Jo Motoyoさん

プロフィール
名前  : Jo Motoyo
受賞企画:『ヨンチンの成長日記(仮)』

あらすじ
5歳で母親が蒸発してから自分の成長日記をつけているヨンチンが17歳で妊娠し、一つの命を生み出すまでの、ささやかで劇的な日常を綴った物語。

TCP2019企画部門スケジュール

監督部門1次審査

企画書 + 映像作品(過去作 or 当該企画のパイロット映像)

監督部門2次審査

映画プロデューサーによる面談
<9月中旬に1次審査通過連絡>
<10月中旬に2次審査面談を実施>

監督部門最終審査

審査員の前でプレゼンテーション
<10月下旬に2次審査通過連絡>
<10月下旬に合同オリエンテーション>
<12月に最終審査会を実施>

応募のきっかけ

そもそもTCPの存在自体は知っていて、何かのきっかけがあったというよりは、「そろそろ応募してみようかな」と思い立ったことが理由です。ただ、TCPは企画を大切にしているコンペで、自分はウケの良い企画を得意としているタイプではないと思っていたので、監督部門という、自分に適している分野での募集があったのも応募動機の1つではあります。

応募作品を思いついた経緯

私は作品の構想を膨らませる時に描きたい「画」が先に浮かぶタイプです。
なぜ、その画を描きたいのか?その画にたどり着くための前後の関係はどうか?を考えていきます。
今回の応募作品の場合は「子供が子供を抱く画が作りたい」と思いつき、構成を練っていきました。

『企画書は過去受賞者のインタビューを見て、「わかりやすさ」を意識』

企画書は、これまでのTCP受賞者の方々のインタビュー等を読みこむ中で、「読みやすさ」が大切だと書かれていることが多く、当たり前のことではあるのですが、改めてこの部分を意識して、書き上げました。応募企画の構想はもともとあったのですが、企画書として仕上げる期間としては1ヵ月ほどかけました。
映像作品についてはこれまでに海外の広告祭用に作っていた作品を提出しました。パイロット映像を作るとなると、とても大変な作業になるので、気軽に応募できる範囲で過去作を選びました。

2次審査に向けて:対策は特にせず、対等な目線で

こういった面談を受けるとき、出来るだけ自然体の自分でいたいといつも思っているので、対策は特にしませんでした。応募者と審査側の関係性はどうしても審査する側が上になりがちなものですが、こちらもコラボレーターを探しているという意識をもって、対等な目線で話したいと常に思っています。緊張していたり、自然体の自分で居られないときは、審査員の言葉を攻撃的に受け取ってしまったり、間違った解釈で相手の言葉を受け取ってしまうこともあると思います。そういったお互いの間に生まれてしまう不必要な勘違いがもったいないなと思うからこそ、対等な目線をもって相手と話すのを大事にしています。

ちなみにTCPの2次面談は審査側に座っている方の人数がかなり多くて、それは少し圧迫感を感じました。(笑)

最終審査に向けて:プレゼンの構成は早い段階で決めていました

プレゼンは8分間、自由に時間を使えるスタイルでした。映像を作ることが必須ではなかったのですが、私はプレゼンターというよりは監督なので、映像で何かを表現できたらと思っていたので、映像を使ったプレゼン構成にしました。

『映像のロケ地は台湾』

こういったコンペの場合は、どうしても予算も時間もない中で進行していかなければいけないので、自分で動いた部分が大きかったです。作品の舞台が台湾だったので、ロケ地やキャスティングなどは知り合いを通して、自分で連絡を取りました。かなりの弾丸ロケでしたが、その後の編集作業も含め、知り合いのプロデューサーや制作スタッフの協力も得て、何とか作り上げました。常々、チームには感謝が尽きません。

TCPを終えて

TCPは応募の際に新たに映像作品を作る必要がないし、受賞をしたら映像化が約束されている。
これは他のコンペとの大きな違いで、とても夢があることだと思います。

今回の受賞作『ヨンチンの成長日記(仮)』は初めての長編作品になるので、私もどんな作品に出来るかまだまだ試行錯誤中ですが、楽しんで作りたいなと思っています。
これまでに出会って来た人や、これから出会うまだ見ぬ誰かと、この作品を通して、色んな角度からコミニケーションしていけたらいいなと思っています。

Follow USオフィシャルSNS